2022年に米国大学に寄贈された1件当たり5,000万ドル超の大口寄付総額は約40億ドルで、前年の45億5,000万ドルからやや減少したことが、慈善事業関連情報を提供する「クロニクル・オブ・フィランソロピー(Chronicle of Philanthropy)」誌などのデータから明らかにされた。大口寄付の減少は、市場の影響よりも寄付者の事情によるものとされているが、非営利機関の教育振興支援協会(Council for Advancement and Support of Education:CASE)でCEOを務めるスー・カニンガム(Sue Cunningham)氏は、米国における寄付活動は株式市場の影響を受ける傾向があるとしている。1件当たり最大の寄付は、2022年5月にジョン・ドーア、アン・ドーア(John and Ann Doerr)夫妻が発表した、スタンフォード大学(Stanford University、カリフォルニア州)サステナビリティ学部(Stanford Doerr School of Sustainability)新設のための寄付110億ドルであった。2番目に高額であったのは、同3月にスティーブ・ボールマー、コニー・ボールマー(Steve and Connie Ballmer)夫妻が発表した、オレゴン大学(University of Oregon)に小児行動保健学研究所(Ballmer Institute for Children’s Behavioral Health)を新設するための寄付4億2,500万ドルであった。これら2件のように、大口寄付の多くは、新規イニシアティブへの資金提供を目的としている。また、CASEの調査によると、大学の主要寄付者のうち、卒業生は全体の約半数で、上記2件の場合、オレゴン大学の事例ではコニー・ボールマー氏が同大学卒業生で6年間理事会メンバーも務めていた一方、ドーア夫妻はいずれもスタンフォード大学卒業生ではない。

Barron’s, Big-Donor Giving to Universities Totaled Nearly $4 Billion Last Year
https://www.barrons.com/articles/big-donor-giving-to-universities-totaled-nearly-4-billion-last-year-01672863068