大学人事専門職協会(College and University Professional Association for Human Resources:CUPA-HR)は、2022年までに実施した、①米国大学執行部、②教員、③専門職、④一般職員、を対象とする4つの高等教育労働力調査の結果から、ジェンダー・人種・民族による年収の公平性の傾向をまとめた。主な結果は以下の通り。

大学執行部:
• 非白人の大学執行役員が全体に占める割合は、2012年の12.9%から2022年には18.2%に増加。但し、増加率はマイノリティ学生による卒業率の増加率を下回る。
• 女性大学執行役員と男性大学執行役員との間での年収格差は全人種・民族において大きく、特にアジア系を除く非白人において顕著。一方、非白人男性執行役員の年収は、近年は白人男性執行役員と同程度もしくはそれを上回る。
教員:
• 女性教員では、将来終身雇用待遇にならない予定の教員の割合が同待遇となる予定の教員の割合を上回る。また、終身雇用待遇になる・ならないにかかわらず、教員のランクが上がるにつれて女性及び非白人教員が占める割合が低下。
• 女性教員と男性教員との間での年収格差は、終身雇用待遇か否か及びランクに関わらず根強く存在し、特に教授レベルの非白人女性教員においてこの傾向が顕著。一方、教授以外のランクでは格差が縮小し、特に終身雇用待遇となる予定の教員においてこの傾向が顕著。
• 教員の年収に最も大きな影響を及ぼす要因は高いランクへの昇格。昇格の確率が最も高いのは白人男性教員で、この傾向は長期間に亘って変わらず。
専門職:
• 女性専門職が全体に占める割合は2017年以降増加し、2022年には女性が占める割合は全体の60%超。この変化は、非白人女性の占める割合の増加によるもので、2022年には全体の24%を占める。職種別では、人事専門職の34%と多様性・公平機械関連専門職の33%が女性の占める割合が高い分野。
• 2022年の女性専門職の年収は白人男性専門職よりも低く、2017年よりも悪化。但し、非白人男性は、過去と比較すると年収の公平性が向上。
一般職員:
• 一般職員は、他の職種と比較して非白人が占める割合が高く、高等教育機関就労者の中で年収が最低。
• 2022年には、一般職員の約19%が非白人女性で、非白人男性が約13%。これらの割合は、いずれも2017年から僅かに増加。
• 最も多様性に乏しい職種は熟練職人で、全体の80%が白人男性。この傾向は、過去6年間で変わらず。熟練職人は、一般職員の中では年収が最高。
• 2017年以降、女性一般職員の年収は男性一般職員と比較すると大幅に低く、この傾向は年を追って悪化し、特に非白人女性においてこの傾向が顕著。一方、非白人男性一般職員は、2017年と比較すると公平性が改善。

なお、これら4つの調査結果は、それぞれ、<https://www.cupahr.org/surveys/workforce-data/administrators-composition-and-pay-equity/> <https://www.cupahr.org/surveys/workforce-data/faculty-composition-and-pay-equity/> <https://www.cupahr.org/surveys/workforce-data/professionals-composition-and-pay-equity/> <https://www.cupahr.org/surveys/workforce-data/staff-composition-and-pay-equity/> からアクセス可能。

College and University Professional Association for Human Resources, CUPA-HR Data Highlights Trends in Representation and Pay Equity in the Higher Education Workforce, and the News Is Mixed
https://www.cupahr.org/press-releases/2023-03-02-cupa-hr-data-highlights-trends/