アジア系米国人学者フォーラム(Asian American Scholar Forum)は9月23日、報告書「集中砲火に晒される:中国系米国人科学者の恐怖感(“Caught in the Crossfire: Fears of Chinese-American Scientists)」を発表した。本報告書は、11のアジア系米国人専門家組織による協力の下、中国系の米国大学教員1,300人超を対象として2021年12月~2022年3月に実施された調査結果をまとめたものである。これによると、回答者の89%は科学・技術分野において米国リーダーシップに貢献したいと希望しているものの、42%は米国内での研究活動に恐怖感を覚えると回答し、特に、工学・コンピュータ科学教員、生命科学教員、連邦助成受給研究者、上級教員にその傾向が強く見られた。その他の主な結果は以下の通り。

  • 約61%の回答者は米国を去るべきとの圧力を感じ、特に若手教員及び連邦助成受給研究者にその傾向が強い。
  • 回答者の45%は連邦助成申請を回避しており、工学・コンピュータ科学教員、上級教員、公立大学教員にその傾向が強い。
  • 中国に帰国する中国出身の科学者数が近年急激に増加。中国出身の科学者間での恐怖感は明白で、米国は才能ある研究者を喪失するリスクが高い。
  • 司法省(Department of Justice)は2022年前半に「中国イニシアティブ(China Initiative)」を終了したものの、それによる委縮効果は現在も続いており、アジア系科学者の恐怖感に対応すべき。

 

なお、本報告書は、<https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2209/2209.10642.pdf>からダウンロード可能。

 

Asian American Scholar Forum, New Report Showcases Climate of Fear Among Asian-Origin Scientists and Researchers

https://aasforum.org/2022/09/23/new-report-showcases-climate-of-fear-among-asian-origin-scientists-and-researchers/